阿武隈のみなもは茜色■ 旅の写真:福島県福島市
川は、山と同じように、その周辺に住んでいる人やその土地で生まれ育った人、
あるいはそこの場所に深く関わった人たちに、郷愁や哀愁を感じさせるもののようです。
例えば、石川啄木は、歌集「一握の砂」の中で、次のように北上川を詠んでいます。
やはらかに柳あをめる北上の
岸辺目に見ゆ泣けと如くに
島崎藤村は詩集「落梅集」の冒頭に、次の『 千曲川旅情の歌 』を収めています。
小諸なる 古城のほとり
雲白く 遊子悲しむ
緑なす はこべは萌えず
若草も 籍(し)くによしなし
しろがねの 衾の岡辺(おかべ)
日に溶けて 淡雪流る
・・・・・
また丸山豊の詩に團伊玖磨が作曲した合唱組曲『 筑後川 』、室生犀星の詩『 犀川 』(この詩も合唱組曲になっていました)、山形県民謡『 最上川舟歌 』・・・・
阿武隈川も美しい川です。
特に、日の入りの頃が・・・。
そして私にはもう一つ、忘れることのできない川の曲があります。
見たことのない川、でも、きっと阿武隈川のように美しい川・・・。
YouTube から
【MOLDAU(モルダウ河 其一~三)】
ラファエル・クーベリック指揮
チェコ・フィルハーモニック管絃楽団 1937年録音
モルダウ、チェコの言葉では「Vltava ・ヴァルタヴァ」というそうです。
Vltavaは、「野生の水」を意味する古いゲルマン語の「wilt ahwa」に由来するのだそうです。
ボヘミア盆地の水を集めてプラハを流れて、ドイツの平原を流れて北海に注ぐ川。
そしてモルダウはスメタナの交響詩「 我が祖国 」の二曲目に入っている曲です。
刻々と色合いが変わる黄昏時の阿武隈川、夢中になってシャッターを切り続けているとき、私の耳の奥ではいつも、「スメタナのヴァルタヴァ」が響いています。
令和7年10月 記
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